《出題傾向

 これについてはあまり深く言及するつもりはない。というのは「声の教育社」をはじめとする所謂、過去問の問題集に載っているからで、ここでページを割く必要もないからである。とはいえ、これを読んでくれている人が過去問を持っていない可能性もあるので、少しだけ触れておきたい。

 頻出なのはやはり「図形」問題。平面・立体ともに外せない。難易度はそう高くはないので確実に点にしておきたい。

 次に「場合の数」。難問も多く時間もかかる問題が多い。整理して根気よく数えていかなければならないものも多く出る。

 あとは「速さ」。難易度は高くないが正解するのはかなり慣れた生徒でなければ難しいだろう。

 「割合」に関するもの、「数の性質」に関するものも良く出題される。「計算問題」もたまにではあるが出題される。


《注目すべき点

 まずは問題用紙に注目して欲しい。

   2008年度の問題用紙はこちらをクリック→麻布 算数問題用紙2008.pdf

 問題に解答欄がくっついている形式である。これ自体はめずらしくもないが、A3くらいの大きめの用紙が縦に半分に区切ってあり、解答を書く欄が四角で囲まれている。ここからいえることは普段生徒が使っているB5のノートでは横幅が大きすぎる、ということだ。つまり、麻布の入試本番に慣れるためには普段問題を解くときに式を書いて欲しいのだが、A5くらいのノートに練習しておいた方が良いと思われる。

 それから、「計算問題」であってもかなりのスペースが確保されている。これは、例え答が違っていても途中式が合っていれば部分点をくれるということを意味している。だから途中式は必ず書くこと。普段から計算問題といえども途中式を書く癖をつけておくべきである。「本番では書くよ」という考えは甘すぎる。絶対に普段から書くこと。

 そして、これも麻布の特徴だが試験中に計算用紙(無地の紙)をくれる、ということがある。だから、筆算はこちらの計算用紙にやり、解答欄には筆算を書かず、横書きの式を書いておきたい。解答欄に筆算を書いたからといって減点するような学校ではないが・・・。ただ、解答欄に線分図や表などは書いておくこと。図や表だけ書いてあれば計算式など書かなくても点がもらえる問題もある。普段から「A5のノート」と「無地の計算用紙」の二つを用意し問題を解いて欲しい。


《いつ、何をやるか

 塾などでは「過去問は12月までやるな!」と指導していたりする。あまり早い時期に解いて自信をなくさせないようにするためであろう。しかし、対策を講じるには敵を早めに知っておく必要がある。だから、6年生の分野が一通り終わった段階で解き始めるべきである。

「できなかった問題集」の作成

 塾などでの授業・テストで出来なかった問題はコピーしノートに貼る。そして、その下に模範解答を写す形で構わないので解法を書いておく。そうすることによって自分だけの「できなかった問題集」が出来上がる。これを夜寝る前の10分くらいで構わないので「問題を読み」、「解法を読む」という作業を繰り返すこと。何度も何度も繰り返せば、問題を読んだだけで解法が浮かぶようになる。そうなるまでやること。この問題集の作成は受験まで続けること。

 では、以下にいつまでに何をやるのかを述べていく。

6年生7月まで 

 6年生の分野を一通り7月までで終わらせること。つまり夏休み前である。ここまでで基本的なものはある程度理解しておかなければならない。理解しているかのチェックに役立つ問題集は「ベストチェック」(日能研ブックス)などがお勧めである。これは難易度が低いので最初から最後まで8割以上が出来るようにしておいて欲しい。

6年生夏休み(前半)

 夏休みに入ったら過去問を1年分だけ解いてみる。3割程度正解出来れば上出来である。大抵の子は2割程度であろう。解き終わったら前述の「出来なかった問題集」を作成する(過去問用に別のノートが望ましい)。そして、やはり寝る前10分で繰り返し読み込むこと。

6年生夏休み(後半)

 1年分解き、「できなかった問題集」もこなしたらある程度コツがつかめてきたはずでここからは少しスピードを出せるはず。3年分くらいはこなしておきたい。

6年生10月

 声の教育社では10年分の過去問が載っているので、10月までですべてを終わらせておく。当然「できなかった問題集」まで終わらせること。10年分のどこを出されても解法が浮かぶようになっているはずである。 

6年生11月

 麻布の問題から離れて、他校の問題を解いてみる。似た傾向にある学校が好ましい。僕がお勧めするのは「駒場東邦」「ラ・サール」「灘」「武蔵」「東大寺学園」などである。関西圏の上位校がお勧めである。同じように「できなかった問題集」に追加していくこと。これが12月末まで。

6年生1月

 今まで作成した「できなかった問題集」を徹底的にやること。すべて覚えたつもりでも解法を見ずに解けない問題がかなりあることに気付くはずだ。その問題を徹底的にやりこむ。そうすれば本番で必ず楽に問題がこなせるはずである。


《苦手単元克服法

「計算問題」・・・・・・これについては克服法も何もない!とにかくやること!計算が苦手であると全ての問題に響いてしまうので必ず克服すること。苦手であると認識しているのであれば毎日やること。地味で苦しい作業だがこれしか道はない。1日に10題は多いであろうから3題で良い。日能研ブックスの『マスター1095題 一行計算問題集』が各学年別に出版されている。これは1日3題進めていく形になっているのでちょうど良いはず。

「図形」・・・・・図形が苦手かどうかは気付いていない子が多い。何となくテストで図形が良く出来ているから「得意なのかな?」と安易に思うことは危険である。麻布くらいのレベルであればその程度では太刀打ち出来ない。判別法は意外に簡単である。何も見ずにフリーハンドで無地の紙に平行四辺形を子供に書かせて見て欲しい。しっかり対辺が平行になっていればO.K.どう見ても平行でなければ危険である。立体についても無地の紙に立方体を書かせて見て欲しい。やはり対辺がしっかり平行になっていればO.K.である。

 図形が苦手と分かったら克服しないといけない。麻布の図形は難問ではないので点を取っておかないと他でカバーするのが難しくなるからである。

 平面図形であれば様々な問題を解きパターン化していくのが良い。「等積変形」「相似」「円・扇形」「多角形」「転がり」などは頻出なのでこれに関する問題を問題集からピックアップしてとことん解いて欲しい。出来なかった問題は当然コピーし「できなかった問題集」に追加すること!ある程度問題量をこなせば補助線の引き方、等積変形の仕方などにパターンがあることに気付くはず。そうなるまでやること。利用して欲しい問題集などは後述する。

 立体図形は少しやっかいだ。そもそも3次元の世界を2次元の世界で解こうとするので、それだけで難しくなってしまう。しかし、それを逆手に取り、3次元の世界を2次元に引きずり込めば良い。つまり、立体を真上から見るとどうなるか?真横から見るとどうなるか?を考えて欲しい。真上から見た図は平面図形になるはずだ。何も立体図形の問題だからといって3次元で解く必要はない。この訓練をすること。それでも、麻布クラスになると2次元に持ち込めない問題もある。これは3次元のまま解くしかないが、慣れないうちはどれもが難問に思えるはずだ。身近なもので実験するのがお勧めである。立体の切断であれば豆腐や羊羹を実際に切ってみるべきだし、立方体の問題は工作用紙で実際の模型を作ってみるべきだ。円錐なども一度は作っておきたい。側面の扇形の意味が実感できるはずだ。

「速さ」・・・・・・・「速さ」が苦手な子は実は「単位換算」が苦手だったりする。時間を分になおしたり、kmをmになおしたり、時速を分速になおしたり・・・。速さの問題には単位換算が付き物だからだ。だから、まずは単位換算が出来るかどうかをチェックしてほしい。そしてダメなら必ず克服すること。

 単位がクリア出来たら、次は「速さの3公式」が理解出来ているかをチェックしてほしい。ここで躓いていては難関校はほぼ無理なので必ず頭にインプットすること。(覚え方は「は・じ・き」でも「木の下のはげじいさん」でも何でも良い)

 それが大丈夫なら速さの応用問題だ。これを克服する最良のやり方は「ダイヤグラム」を書くことである。僕も指導中、「これは難問だ」と思ったら迷わずダイヤグラムを書くようにしている。人や車の図を書いた方が分かりやすいように感じるが、これは時間による変化についていけない。速さの問題である以上、時間によって人や車の位置が変わってしまう。これを図で表現するのは不可能でダイヤグラムが最適になる。書けるようになるまで練習すること。

「場合の数」・・・・・・・・麻布の問題の中で一番の難問がこの分野である。いわゆる公式化された問題などはほぼ出ない。この問題の克服法は「面倒くさがらない」ことである。すべての場合を列挙しなければ答まで行き着けない問題も多いからである。しかし、ただ漠然と全て列挙していてはダメである。麻布側が求めているのはこれらを「整理して」列挙できるか?にある。闇雲に全て書き出していては必ずミスを犯す。表を利用したり、一つの数に注目したりして必ず「整理」する癖をつけること。ある程度の時間は掛かる問題だが、整理することによって思いのほか早く、簡単に解けることが実感できるはずだ。

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